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To Teachers Who Teach Programming プログラミング教育を行う先生へ

情報I必修化の経緯と必要性、学習指導要領、So5.0/AI

これからの Society5.0社会に向けて

情報技術の進歩により、世の中は Society5.0に代表される、AI技術が急速に発展した情報社会に変化しました。現代社会では、スマートフォンを中心に、あらゆる情報の伝達が情報通信によって行われています。今後、情報社会を生きる子どもたちは、このような情報機器と情報通信ネットワークに囲まれながら、これらの技術を活用して生きていくことになります。
生活や仕事で便利に使われているスマホのアプリやパソコンのソフトは、すべてプログラムで作られています。つまり、「プログラムとはどのようなものであるか」「どのような動きをするのか」「どのように作られているのか」ということを、体験を通してイメージできるようにしておくことは、今後生きていく上で重要になるということです。将来プログラマーになる人はクラスの中で 5人程度かもしれませんが、たとえば学校の先生を考えても授業プリントの作成や成績処理などを含めてコンピュータを活用することが求められます。このように、今後はどのような職業についたとしても、何らかの形でパソコンを使ったり、プログラムでデータを処理することが必要になる可能性が高いと考えられます。その時に、プログラミングの経験を通してコンピュータの基本的な考え方が分かっているかどうかは生徒にとって将来大きな意味を持つ可能性があるのです。

学校教育で必修化となったプログラミング教育

このような背景の中で、2020年度から開始された新しい教育課程では、小学校からプログラミングが必修化され、話題になりました。また、大学入学共通テストでは情報科目の新設が予定されています。
そこで小学校の新課程では、プログラミングを各教科の学習の中で積極的に扱うことが推奨されています。中学校では 2021年度から、技術・家庭(技術領域)の中で、計測・制御のプログラミングに加え、双方向性のあるコンテンツのプログラミングが扱われることになりました。
タブレットやパソコンなどの端末環境は、GIGAスクールプロジェクトなどで導入が進められています。小学校では主にタブレットを使用し、普通教室のWiFiなどを使う形が一般的です。中学校ではノートPCや Chromebook、キーボード付きのタブレットなどの導入が進められています。プログラミング環境としては、画面にマウスや指で部品を並べていく形の、ブロック形式のプログラミングが中心です。

イメージ:各学校段階におけるプログラミング教育を通じて目指す育成すべき資質・能力

高校では情報Iが必修化。基礎を学んで将来につなげよう

高等学校では、従来からの必履修科目である「社会と情報」「情報の科学」が「情報 I」として統合され、新たに選択科目である「情報 II」が新設されました。これらの新課程の情報科には、プログラミング、アルゴリズム、シミュレーション、データ活用(データサイエンス)などの内容を含まれています。
高校で扱われるプログラミングでは、英語などの文字でプログラムを記述する形の、テキスト形式のプログラミングが一般的です。授業では、反復・分岐などの制御構造と、関数を使ったプログラムの部品化の考え方、そして変数や複数の値をまとめて扱うための配列・リストなどのデータ構造を学びます。
プログラムは日本語などの文章と同様に、文法の範囲内で自由に書くことができます。ただし、アルゴリズムと呼ばれる定石のような書き方も存在します。教科書では、大量のデータの中から特定の値を高速に検索する探索アルゴリズムや、大量のデータを小さい順または大きい順に並べ替える整列アルゴリズムなどが紹介されています。これらのアルゴリズムでは、たとえば「隣同士の 2つの値を比較して、必要があれば交換する」といった単純な手順を何度も繰り返すことで、結果的に数万件といった大量のデータを扱うことが可能になっています。そのような「単純な手順で大きな仕事ができる」というアルゴリズムの不思議さや偉大さに触れることは大きな経験になるはずです。
授業では、続いてモデル化とシミュレーションを扱います。複雑な計算や大量の処理が得意というコンピュータの特徴を利用すると、プログラムを用いて動きを可視化したり、天体などの将来を予測する学習が可能です。その後に学習するデータベースやデータ活用などのデータ処理でも、プログラミングを使ってデータを操作する学習が可能になっています。

情報科の大学受験科目での採用も

2022年からの新課程で、高校の情報科目は従来 2科目だった「社会と情報」「情報の科学」から「情報I」に一本化されました。今後はすべての高校生が必履修科目として情報 Iを共通して学ぶことになりますので、2025年に大学に入学する生徒からは情報科目の大学入試が行いやすくなることが想定されます。具体的には、大学入試センターは大学入学共通テストにおいて「情報」の出題を予定しています。出題範囲は情報 Iであることが示されており、すでにどのような問題が出題されるかを示す「試作問題」および「サンプル問題」が公開されています。もちろん、すべての高校生が情報科目で大学入試を受験することはないかもしれませんが、必要になる生徒のために、どのように受験対策を行っていくのかというサポートは、今後求められる可能性が考えられます。そのような生徒や高校の授業学習をサポートする上で、本教材が一助になればと期待しています。