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To Teachers Who Teach Programming プログラミング教育を行う先生へ

中学校でも重要になるプログラミング教育

これからのSociety5.0社会に向けて

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、GIGAスクールの1人1台端末を整備は加速され、企業でもテレワークが一気に広がりました。こうしたネット上の世界(サイバー空間)と現実世界(フィジカル空間)を組み合わせた学びや仕事、生活は、今後も展開されていくでしょう。こうしたサイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会が「Society5.0」です。ご存知の方も多いと思いますが、5.0とは、狩猟社会、農耕社会、工業化社会、情報化社会に続く5番目の段階ということです。
先生方が教えられている生徒たちが社会に出て活躍する10年後、20年後は、こうした変化がさらに進むことでしょう。そこでは、COVID-19対応のように、不測で解も見えない課題を解決していく必要があります。現在の学習指導要領はこういった問題意識の上に作られています。目の前の生徒たちは、ICTを活用し、不測で解も見えない課題に立ち向かって行けますか。変化に対応し、次の社会を作り出してくれる力を身につけていますか。1人1台端末でのICT活用、プログラミング教育はそのための第一歩です。

身の回りのプログラミングの考え方

プログラミング教育の目標で示されているのが「プログラミング的思考」です。この例で良く出されるのが料理です。目玉焼きのような簡単な料理であっても、フライパンを熱して卵を割ることから、仕上がりまで複数の手順と条件判断が必要になることはおわかりになるかと思います。これら処理の手順や判断(アルゴリズム)を人間が理解できる言語(プログラミング言語)でコンピュータへの指示書にしたのがプログラムです。料理同様に、音楽の楽譜も、まさにプログラムの考え方です。他にも例がどんどん出るでしょう。
このような「プログラミング的思考」を身につけた生徒は、目的の課題解決のために、必要な条件を考慮しながら試行錯誤し、最適な手順や判断を考えていくことができるでしょう。プログラミング教育では、生徒たちがプログラミングを通して、これらの考え方を身に付けることを目標にしています。そして小学校での学びを中学、高校と、発達の段階に応じて発展させていくことが求められています。こうして「プログラミング的思考」を身につけた生徒が、ICTを活用し、不測で解も見えない課題に立ち向かっていき、新しい社会を創り上げてくれるのではないでしょうか。

イメージ:各学校段階におけるプログラミング教育を通じて目指す育成すべき資質・能力

小中高大でのプログラミングの学び

現在、社会のあらゆる場面で膨大な情報が扱われ、私たちもスマホやPCで便利アプリや各種サービスを使っています。これを支えているのが情報システムであり、プログラムによって動いています。そして、これら情報システムは、膨大な情報を収集・分析・処理を日々しています。こうした情報システムを作り上げる情報技術とデータの分析・処理といった統計などのデータサイエンスの重要性は、日々増大しています。生活や社会の様々な場面で一般化してきたAIは、この2つがあって実現しています。
こうした流れは、教育においても大きな変化をもたらしました。小学校でのプログラミング教育の必修化、中学校の技術・家庭科技術分野でのプログラミングの内容の高度化、高校での情報科でのプログラミングの必修化がなされました。また、データサイエンスについても算数・数学でのデータ処理の内容の増加や社会などでの統計情報の読み取りなどがあげられます。高校での情報では前述のプログラミングと共に、データ分析がもう1つの柱になっています。さらには、大学入試共通テストでの「情報」の導入、大学での分離問わずAI・データサイエンスの必修化など全学校種にわたっています。このようにプログラミングの学びは、小学校から大学まで広がっているのです。

プログラミングによる問題解決で新しい学びを拓く

中学校でのプログラミング教育の中心となるのは、技術・家庭科技術分野です。ここではプログラミングを含め、情報技術の科学的な仕組みを理解し、さらに生活や社会の中で見出した問題を解決していく学習が重要です。スマホやパソコンを通じ、生徒らが日常的に使っている様々な情報サービスの仕組みを理解することで、こうした技術を適切に評価・活用できるようになっていくでしょう。その際にプログラミングが不可欠であることは言うまでもありません。双方向性のあるコンテンツのプログラミングや、計測と制御によるプログラミング自体ではなく、あくまでも問題解決が目的であることです。どんなツールで学ばせるかもさることながら、生徒が取り組みたくなる問題は何かを検討することがより重要になってきます。
一方、技術・家庭科以外の教科でも、様々な問題解決場面でプログラミングは有効に働きます。そこにデータ分析も加われば、より強力な問題解決力となっていくでしょう。そして何よりも、プログラミングは各教科での学びを深めたり、その背景にある学問の面白さに気づかせたりしてくれるなど、これまでにない新しい学びを拓いてくれる可能性を持っています。技術・家庭科のみならず、多くの教科でプログラミングを取り入れ、プログラミングによる問題解決で新しい学びを拓くことへの試みをお勧めします。

参考
文部科学省:小学校学習指導要領(平成29年告示解説)、2017